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コラム(49) 2011年12月
歴史的分水嶺2011年を想起して
 日本社会に本質的なパラダイムシフトをもたらした3・11東日本大震災をはじめ、悪化する日本の政治経済情勢、更にはアフリカの春・ジャスミン革命、ギリシャ・イタリアEU問題等、2011年は21世紀における激的な歴史的転換期の1年間でありました。戦後体制の諸課題が一気に顕在化し、従って2011年を総括すれば「格差・絆」と表示されるかもしれません。
 東西冷戦が崩壊し、新たな自由世界の秩序が予測されましたが、結果的には民族、宗教紛争が露呈した結果、悲劇の9・11へと連結し、経済システムはグローバルリズム、市場原理主義が潮流となり、人間復権とは異形な社会を生じ、世界は新しい価値観を求めながら、尚も不透明感と不安感が一段と強くなっております。
 50年前、世界人口は30億人、それが半世紀2011年で70億人、更に2050年には93億人というシミュレーションが現実となりつつあります。一方、世界における人口増加と伴に高齢化も一層進み、とりわけ中国も10年後には高齢化社会が最大の問題と指摘されており、現在9億人といわれる世界人口の60歳以上が2050年には24億人になると指摘されております。翻って日本も東京一極集中や地方経済の疲弊、労働生産人口の低下、急速な高齢化、雇用の劣化、経済の空洞化、超円高、デフレ、社会保障制度(年金・医療・福祉)問題等、政治課題は山積しこれ以上の先送りは許されず、明確な政治意思や決断なくして未来への責任を担うことは不可能であり、21世紀という新しい文明社会が政治的にいかに困難な時代かということであります。
 そうした中、自民党県議団長を拝命し、激動の8ヶ月でありましたが、政治に対する情熱や使命感を常に燃やしながら、県民の皆様が希望の持てる県政を実現すべく、私なりに夢中で走り抜き一瞬のうちに12月を迎えました。従って改めて政治的現実の最大の要諦は、経済再生と危機管理の実効性だと認識いたしました。今後は、そうした状況を深く認識し、地域経済活性化と社会保障制度の確立のため、新しい発想力と、私なりの習熟した政治経験を基盤に、愛する長野県、郷土松本市発展のため、「命なる政治」を理念として今後とも全力を傾注する決意であります。
 1年間、本当にお世話になりました。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷 一彦

コラム(48) 2011年11月
勇気ある政治家のステイツマンシップを
 21世紀も早11年経過したが、20世紀とは全く異相な社会情勢になった。パックスアメリカーナの相対的力学が衰退傾向の中、中国をはじめ新興国の台頭を含め、アフリカの春やユーロ問題など戦後体制の内在化していた課題が急速に顕在化しつつある。
 米国がものづくりから金融資本に舵を切って以来、金融工学的方法論は資金ストックの何倍もの金融取引をグローバルスケールで展開し、結果2008年のリーマンショックを招き、現在も何ら本質的解決を見ておらず、むしろ米国もEUも本格的回復どころか、財政を含め悪化の一途を辿っている。
 こうした過剰流動性をコントロールできずに、人間の英知では「神の見えざる手」を制御できなかった証左に他ならない。更なる問題は、産業の高度化がもたらす中産階級の喪失である。中間所得層の健全なる拡大こそ、政治の最大なる要諦にもかかわらず、先進各国に限らずむしろ格差の拡大は、深刻な状況である。消費マインドを支えるのは言うまでもなく中産階級の厚みに他ならない。ケインズの財政出動やマネタリズムによる金融緩和が成果を出しにくいのも根源的には中産階級の崩壊にある。
 このような環境下、欧米問題の解決は果敢なる政治判断による公的資金投入であり、国際社会全体としては富の再配分の公平性の確保であり、更には構造改革による新産業の育成を図り受給ギャップの解消こそが基本的方向性である。
 従来の政治と経済が機能不全に陥りつつある現代社会にあって、むしろ日本は六重苦ともいえる経済環境の中にあって、世界の奇跡ともいえる近代化の底力を発揮して日本モデルによって、世界経済再生のインセンティブを働かせる気概を持つべきであるし、その故に真の政治家的情熱が求められる。
 70円台のドル/円相場は、為替のマジノラインであり、限界とも言える円相場による産業の空洞化が必至の現在、日本経済の存亡に関わる今こそ、実効性あるポリシーミックスを大胆に行い、構造デフレ脱却を実現すべく政治の責任が今ほど重い時はなく、勇気ある政治家のステイツマンシップこそが最大なる課題である。長野県はそのような状況を正確に受け止め、まさにメイドイン長野の実現に向けて蛮勇と言える政治判断をしなければならない。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷 一彦

コラム(47) 2011年10月
新しい文明社会への提言
 混迷を深める日本の政治経済情勢は、日本を震撼させた東日本大震災も加わり、ある意味で文明史として戦後最大級の危機という認識を持つべきと思われます。
 世界銀行のゼーリック総裁は、今日の経済状況は世界同時不況に入ったと明確に述べており、日本にとって株安、超円高、デフレという三重苦の現実を見ても、その指摘は厳粛に受け止めるべきであります。IMFをはじめ、先進各国が基本的には協調体制をその理念としている故に、綱渡りともいえる経済情勢の中、21世紀の新しい概念で言えば、その環境は通貨戦争という受け止め方が妥当と思われます。従って、国際社会における日本のプレゼンスは低下の一途を辿り、外交は実質的に機能不全状態であり、主権国家というより、むしろ米国の従属国家ともいえる今、政治の責任は極めて大きく、同時に国民の覚悟が今日ほど問われる時はありません。
 都知事の新堕落論の要点は、今日の日本人の希求する所は、物欲・金銭欲・性欲に傾注し、結果荒廃した日本の精神性は極めて深刻な事態であります。
 改めてトインビーが語った日本の近代化は、歴史の奇跡という指摘に思いを致す時、明治という時代について日本国の存亡を賭けたロシアとの戦いも含め、改めて再認識する必要があり、我々は果たして21世紀の新しい坂の上の雲を提示できるのか、甚だ疑問であります。従って国家の実力とは、危機管理能力である以上、3.11のパラダイムシストにより、日本の弱さの本質が具現化し、日本の運命のカウントダウンが始まったと考えなければなりません。
 経済成長の限界、財政危機、社会保障制度(年金・医療・介護)の不安定化、経済の空洞化に伴う雇用の劣化等、今、日本社会を覆う不透明感は成熟から喪失へ向かう歴史の分水嶺に差し掛かっております。社会全体、文明全体の箍が緩み、崩壊するのではないかという漠然とした危機感が国民の下意識に蔓延しております。
 この不安の基本構造は、私達の文明そのものが転換期にきており、文明の質的変化に対する新しい理念を日本人全体が持ち切れず、社会心理学的知見からも日本政治に欠落しているのは、そうした視点に立った歴史的認識に他なりません。
 新しい文明社会を形造る社会の本質的変化について、明晰な解釈と新たなる提言が政治の責務であり、新しい時代の新しい人間主義、人間の個性的現実が許容される社会の造形こそが、今求められる時代精神であります。21世紀という苛酷なまでの社会的現実の中にあって、政治家は真に人間の復権のための行為者として、一層の使命感を持って挑戦することであり、それこそが自己犠牲に立った私の政治理念であります。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷 一彦

コラム(46) 2011年09月
平成23年9月定例県議会に向けての重要課題について
 今日の経済情勢の最重要課題は、世界的な株安とともに、先月来の急速な円高であり、8月19日には、ニューヨーク外国為替市場の円相場は、一時75円(93銭)台まで円買いが急加速し、東日本大震災後の3月17日につけた戦後最高値(76円25銭)を一気に更新したことであります。
 世界的な株安の連鎖が続く一方で、比較的安全とみられている円の投機資金が流れたものと言われておりますが、アメリカの経済指標が軒並み悪化し、景気減速懸念が強まっているほか、ヨーロッパでは債務問題が金融システム不安に波及するとの見方が広がっており、こうした欧米の財政懸念が払しょくされない限り、円高基調が続くというのがエコノミストの主流となっております。
 先日の日銀総裁の会見でも、円高のマイナスの影響について、現在の円高がどういう局面で生じているのかが重要とし、海外経済を巡る不確実性が大きいため、先々の電力供給の制約問題をはじめとして、日本経済が課題を抱えている中での円高は、企業マインドという面でも、また、日本企業の生産シフトの促進・加速というリスクの面でもコストがあると判断しております。
 輸出関連企業の多くは、想定為替レートを1ドル80円前後に設定しており、これ以上の円高進行は、企業収益の大幅な悪化につながり、東日本大震災からの復興の足かせになりかねない状況にあります。
 県内企業におきましても、輸出関連産業はもとより、最近流行りのスマートフォン部品等の電子機器をはじめ、多くの企業が海外生産拡大の必要性や取引先のコスト削減要請の懸念等、この円高への対応に苦慮している声が多く寄せられております。生産拠点の海外シフトで国内の設備投資が減少すれば、製造業のみならず建設業の受注にも影響、更には雇用情勢全体にも大きく影響するとの懸念も広がっております。
 もとより、我が国経済は、リーマンショック後の経済危機を克服し、回復の途上にありましたが、一方では失業率が若年層を中心として、以前として高水準で推移しており、先行きについても海外景気の下降り懸念や為替レートの変動など、景気が下押しされるリスクが存在しているところであります。

 また、バブル経済の崩壊で高度成長が終焉して以降、少子高齢化の進展、巨額の財政赤字、年金制度の行き詰まり、産業の空洞化など、数々の難局に直面してまいりました。近年では、リーマンショックを起因とする経済の落ち込みが加わり、GDPで日本を抜いた中国をはじめとして、他の国々が立ち直りを見せる中で、日本だけが残された状況というのが、共通した認識になっております。
 思い起こせば、我が国の経済規模が自由社会で第二位と認識されたのは、昭和43年、誰もが誇らしげな気持ちを持ち、伸びゆく日本に大きな可能性を見出したものでございます。
 そして40年経った今日、我が国はGNP第二位の地位を中国に譲り高度成長を経て、少子高齢化やグローバル化の進展など経済社会構造は大きく変化いたしました。
 90年代初頭のバブル崩壊以降、日本経済は総じて見れば力強さに欠け、長期の低迷を余儀なくされたこともあり、将来の成長に対する悲観的な見方もある中、我が国経済が国内市場の成熟化やデフレ経済の影響などにより停滞を続ける一方、近隣のアジア諸国を見渡せば急速な経済成長を続ける国々が数多く存在する現況であります。

 こうした中での、今回の緊急経済対策、またそれを踏まえた9月定例県議会の補正予算における経済対策の重要性の認識につきましては、6月定例会前の知事各党でも、また本会議や委員会におきまして、我が党をはじめ多くの議員が取り上げ、質問いたしましたが、知事以下執行部の答弁は必ずしも納得できないような答弁であり、すなわち景気低迷の中で発生した長野県北部地震や東日本大震災に伴う対応に特化し、極端に申し上げると地震と切り離した景気・雇用のための経済対策、そのための大胆な財政出動を、我が党としては要望させて頂いたところですが、これに対する明確な内容が提示されませんでした。
 尚、時間的なスパンとして、短期的な対応、そして今後の長野県の経済をどのように発展・成長させていくのかという観点からの中長期的な対応というくくり、そして具体的には新エネ・省エネをてこにした対策、環境分野、健康分野等にこれから成長が期待される分野への支援、更には災害対策も含めたインフラ整備にも取り組まれるということで、従来から我が自由民主党が主張しております施策を随所に取り入れたことは評価致します。
 また、財政面におきましても、財政規律は念頭におきつつも、一定規模の県債の発行を想定し、本格的な財政出動を強く要望致します。詳細につきましては、今後9月定例会の中で十分議論をしてまいります。
 補正対応への基本的な認識といたしまして、今日の経済・雇用情勢等の悪化による県民生活や県内経済の不安を早期に解消し、暮らしや経済活動の安全・安心・安定を確保するために、県として何を行うのかという視点がポイントであります。
 勿論、東日本大震災や福島原発にかかる課題が新たに加わってはおりますが、円高も含め、平成20年の緊急経済対策を講じた時点よりも更に悪化した環境下、緊急の対策が必要と認識いたします。
 そうした点から、先ず昨年度の同時期の9月補正との違いはどの辺にあるのか、昨年9月との共通項と明確な相違点について正確な分析が必要であります。

 次に、補正予算編成にあたって、財源面で国予算との関連性は当然に否定いたしませんが、国の方針、すなわち8月15日に閣議決定された「政策推進の全体像」に盛り込まれた「新たな成長へ向けた国家戦略の再設計・再強化」策、特にエネルギーや環境という視点について、あえて震災と切り離した県内産業の成長分野としての認識を持つべきであります。
 さらに、先の6月補正において対応した中小企業への融資枠の拡大につきましても、一定の効果はあったものの、いわゆる「真水」の視点から県内の総生産を直接的に押し上げる効果のある施策を重点的に盛り込んでいくことが重要であります。
 従って、予算面も含め国の施策との関連性との中で取り入れるべき部分は、取り入れていくべきであります。そうした中で知事として、これからの長野県、なかんずく長野県の経済をどういう方向に持っていきたいのか、そのために今日、明日、そして将来像を明確に提示し9月補正に取り組むことが肝要であります。
 第二点といたしまして、公共投資、公共事業に関する認識であります。県単独事業としての、三公共(建設・農政・林務)の公共事業、なかんずく、裾野の広い建設業の事業を確保し、雇用を改善する観点から、また社会資本整備、維持管理、砂防等防災上の必要性からも、公共事業に積極的に投入する時期であり、必要性が高いと考えます。
 民主党政権誕生とともに、「コンクリートから人へ」というキャッチフレーズの下、国の公共事業の関係予算が対前年度比18%カットという極端な削減がされ、県内経済にも大きな影響を与えました。
 こうした公共事業関係費、特に工事費の減少は本県経済にとって容易ならざる問題であり、知事は深刻に受け止めるべきであります。更には、入札・契約といった手続きの面から、12月や2月の補正では年内・年度内の着工が間に合わず、経済効果も後ろ倒しとなり、効果も薄れる現状であります。
 災害時の県民の安心・安全の確保や地域の雇用を支えるのは、最終的には地元に根差した企業でなければならず、県内企業の受注機会の確保も重要な点であります。
 また、放射能問題、特に県内の農畜産物の販売への影響を踏まえ、先ずもって大事な点は、こうした問題には国が責任を持って対処するという前提の上で、現在実施している各種農畜産物の検査について、万全を期し風評被害も含め、その影響が最小限となるよう、また県民・消費者に安心・安全を与える立場から強力な体制・対応を取ることが重要であります。

 震災関連につきましては、3月の東日本、栄村、そして6月の我が松本市を中心として地震の中で、今後の危機管理そして防災・減災対策の再構築も重要な事柄であり、これまでの防災対策を総合的に検証し、一層強化して県民の安心安全を確保することが、県の一番の責務であります。これまでの防災対策のブラッシュアップ、スピードアップを図るよう、当局に強く要請いたします。
 「天下の事、不進則退」、天下のことは進まざれば則ち退くと申します。世の中は、常に絶え間なく前進しなければならないという理念のもと、県政の発展、特にその源となります経済の回復・発展のため、私も議会活動を通じ山積する課題につき、全力を傾注する決意であります。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷 一彦

コラム(45) 2011年08月
歴史的パラダイムシフトから新しい長野県の経済社会の造形を!
 リーマンショックの再来を予感させる米国債の格下げは、8月上旬世界同時株安を発生。欧州の債務問題とともに急速な円高ドル安と財政金融政策の行き詰まりは、世界の政治経済に対し深刻な現実を提示しております。
 今回の状況は、3年前の国際経済危機が本質的に解決しておらず、米国の金融資本主義が実体経済とあまりにも乖離した結果、諸問題を露呈させEU各国、米国の財政悪化に強く連関しております。1971年のニクソンショック以来、ドルは基軸通貨として政治力・経済力・軍事力・IMF・世界銀行を背景に、アメリカングローバリズムを発揮し、冷戦構造に勝利を収め新たなる世界秩序を期待しましたが、結果的には民族紛争や宗教問題が噴出し、その帰結としての9.11テロは、今や世界の共通認識であります。

 戦後日本は、吉田ドクトリンによる軽武装、経済第一主義の理念のもと、世界第2位の経済大国にまで上りつめましたが、バブル崩壊後は失われた20年の中で、主権国家としての明確な国家戦略を構築できぬまま漂流し、国家にとっての基本である安全保障も他力依存のまま今日に至り、領土問題や拉致問題に対し、政府は明確な国家意思を表示せぬまま今日に至っております。日本民族の国家理念に対する無気力さによる国力の衰退は深刻な状況であり、いかに政治の衰退を克服し、21世紀の新たなる国家像、あるべき社会像の造形が今ほど求められる時代はありません。とりわけ、政治の責任は重く、我が国の将来の大計を思う人材不足は目を覆うばかりの惨状であります。蛮勇の如き勇気と決断、それに高い知性を持った真のステイツマンシップを執行できるリーダーの出現を強く待望致します。

 20兆円とも言える3.11の復興費、中央地方合わせて1000兆円とも言える債務を抱えながら、108兆円の社会保障給付の中、税と社会保障の一体化問題、急速な少子高齢化社会への対応、経済の空洞化、防衛力の劣化、地方経済の疲弊等、山積する重要課題に対し、それらを超克する意思すら感じられない今日の政治情勢は、今日我が国が国家衰亡の分水嶺に立ち竦んでいると言っても過言ではありません。

 第2次世界大戦の折、ドイツ軍に降伏した祖国フランスを救うべく、英国に亡命し政権を樹立したド・ゴールは、「フランスは戦闘に負けたが、戦争に負けた訳ではない」という感動すべきメッセージを祖国に発信し、その結果フランス国内のレジスタンス闘争の組織化に成功、見事にパリに凱旋をしました。
 今、混迷する日本政治に求められているのは、ド・ゴールのような愛国救国の力強い指導者に他なりません。ロンドンにおける若者の暴動や中国も神経質になっているチュニジアをスタートとした中東アフリカ各国のジャスミン革命、中国の経済発展と連動する急速なインフレ、新興国の格差問題等、2011年は政治経済、自然災害を含め真の歴史的転換期に差し掛かっております。このパラダイムシフトをどのように認識し、本質的な再生に向けるかが今日の最大なる課題であります。
 こうした客観情勢を俯瞰的に捉え、愛する長野県の21世紀の進路について考察するならば、各分野における高いポテンシャルをいかに具体化するかが、県政の最重要テーマであります。

 日本経済が、3四半期連続マイナス成長という事実を厳粛に捉え、長野県の経済社会構造の変革に向けたイニシアティブを取る先見性、更にはそれを踏まえた総合的施策パケージの提示、その実現のための助成支援措置、税制面の対応、規制緩和などを具体的に予算化し、施策執行しなければなりません。危機管理・医療・環境・観光の分野についても、発想を転換し新たなる概念による公共政策と位置づけ、低迷する県内経済への対応として847億円の公共事業、521億円の県単の前倒しを実施、更には次世代産業に対する包括的なグランドデザインの構築等を含め、9月定例会の補正予算内容は、その意味で極めて重要な位置づけになると思われます。財政の健全化と経済政策を複合的に捉え、新たなる発想力を持ってこの困難の克服こそが今県政・議会に求められる力量であります。

 私もそのような強い危機意識と責任感を持って、明確な政治意思を提示し、真に県民の為の政治行為に向けて最善の努力をする所存であります。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷 一彦

コラム(44) 2011年07月
第3の敗戦から21世紀新しい時代にむけて
 日本の安全神話は、3・11によって完全に崩壊したと考えられます。地震、津波、原発事故という未曾有の災害は成熟した文明社会に決定的な打撃を与え、とりわけ経済面において電力不足、供給体制の亀裂を中心に各分野への影響は21世紀の日本経済社会システム全体に及ぼし、復興に向けての全力投球を最重点施策におきながら3・11以降の日本のあるべき姿への構想力が今年ほど問われる時はありません。長野県における北部地震も予測を超えたものであり、糸魚川〜静岡構造線、牛伏寺断層などをかかえ新たな防災計画と危機管理の本質的転換が迫られております。このような国家社会の非常事態に対し、政府の狭量な視点に立ったスピード感のない対応は、現政府の衰退の証左であります。

 政治は国民に奉仕するため存在するとの基本理念が政治家から欠落し、すべての課題は政治に帰着する以上、今この緊急時に政治の使命について、厳粛に再考しなければなりません。今回の震災は、第3の敗戦との指摘もありますが、3つの敗戦の共通項は、経済が下降状況の時期にあったということのようであります。1991年にバブルが崩壊した後の日本経済の衰弱、リーマンショック以後の不況感からの脱出が見いだされない環境下に、この度の震災が発生したわけであります。

 日本国憲法は非常事態宣言的な概念がなく、平時における地方自治体活動を想定したものであります。政府は災害対策基本法、原子力災害対策特別措置法を発動しましたが、むしろ安全保障会議設置法を発動させ、官邸主導型による各省の縦割り行政を越えた迅速で力強い政治力を発揮すべきであり、「会議は踊る されど進まず」のウィーン会議とも思える現政府の混迷ぶりは歴史上最悪の対応であり、改めて政治は決断と責任という基本哲理を想起いたします。
 日本の繁栄と平和、県民の安全安心に貢献すべく都道府県及び議会の果たすべき役割は、益々重要になっております。国と地方政府の役割分担の再構築、とりわけ国は緊急時には財政面を担保し、平時の法令に固執することなく、市町村、県に復旧プランの権限を大幅に移譲すべきであります。
 戦後67年間にわたる日本の経済第一主義は結果的に国家安全保障、危機管理へのリアリティーを喪失し防衛エネルギーといった主権国家としての重要施策への矜持を忘却し、今日の迷走がそのすべてを現しております。政治は上部構造との認識の上に立てば、今の政府は国家意思としての背骨がなく、政府の機能不全、各大臣の力量不足は深刻な状況であり、現与党は政権にしがみつくことのみに執着し、真の政治の目的を失っております。
 かくも幼稚になった政治環境の中で3・11はその意味で歴史的視点から考察すれば、日本の将来を決定付ける大きな分水嶺と位置づけられるでしょう。昨今の先送りと対処療法を続ければ、この国の未来はなく、いずれアジアの各新興国の後塵を拝することになると思われます。

 自民党県議団長を拝命し、3ヶ月が経過いたしましたが、県内においても6月23日、上高地の土石流災害が発生し、関係当局とともに早急な対応をいたしましたが、いずれにしても、政治の最大の要諦はダメージコントロールであり、平時ではなく、緊急事態への対応力こそが政治の責任であります。新しい発想力をもって、今後も議会活動を通して、長野県、松本市発展の為全力を傾注する決意であります。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷 一彦

コラム(43) 2011年06月
21世紀日本復興のため祖国よ覚醒せよ!
 敗戦後の荒廃から復興・高度成長を経て衰退傾向にあった昨今、3.11という日本にとって戦後最大級の壊滅的打撃を与えた東日本大震災は、21世紀という新しい文明の時代がいかに困難で不透明かを暗示しております。東京都のGDPが約100兆円と言われるごとく、過度な一極集中は地方社会経済に疲弊をもたらし、人や企業があまりにも太平洋側に依存する日本の国土構造は、今回の大震災を節目として抜本的変革を実現しなければなりません。

 東海・東南海・南海地震が現実味を帯びてきた中、太平洋側のGDPは415兆円に対し、日本海側は58兆円に過ぎません。首都圏の食糧・水・エネルギーは地方が供給し、政治・経済・司法・金融・マスコミ等すべてが東京に位置づくという異形さは、リスクマネージメントの視点から集中の除去は21世紀の最高度に属するテーマに他なりません。従って国家改造に向けてスケールの大きな国土政策を今こそ立案することが、政治の最大なる責務であります。

 トインビーは「歴史の研究」の中で、国家が自己決定できなくなった時、その国は衰退すると述べていますが、今日の政局の混乱や政治判断の遅延は、現代日本政治の劣化そのものであり、日本の未来にとって極めて深刻な事態であります。国民的決意がこれだけ明確にもかかわらず、非常事態ともいえる状況に対する政治の危機感の希薄さは、驚愕としか表現でき得ないものであります。

 しかしながら、このような悪しき現実にあっても日本は復活せねばならないし、その能力は充分あると考えられます。1つの例を挙げれば、日本の失われた20年は同時にその試練を乗り越えた20年という解釈もできます。20年に及ぶコスト引き下げと効率化、企業のグローバル化、極めて高い技術水準の顕在化は、その結果として企業は世界経営の本社化を実現し、素材・部品・装置部門において他の迫従を許さないゾーンに入っております。半導体で20%、シリコンウェハーは60%、プリント基板用樹脂90%のシェアなど枚挙にいとまがありません。従ってデフレ経済を克服し、消費マインドが正常化すればそうした各分野の高い技術が日本経済に好循環をもたらす事は間違いなく、約20兆円と予測される第2次補正の成立、復興に向けての各種施策の一刻も早い実現を強く望むものであります。

 そうした意味で2011年の経済成長は、ほぼゼロ成長とはいえ新しい日本再生にとって節目の年であり、政治は復興に向けて全身全霊を捧げなければなりません。政府による各般にわたる正当な権限の行使のための決断、強い指導力の表示こそ、今国民が政治に求めているものであります。被災地で刻苦しながら立ち上がろうと努力し耐え忍んでいる同胞を見る時、私達は他力本願や表層的な個人主義と甘えを捨て日本の真の復興復権のため、己の欲望を自制し国家再生にため、国民一丸となってこの困難に立ち向かわなければなりません。このような認識の上に立ち、長野県議会も6月定例県議会において北部地震の1日も早い復興と県内経済再生に向けて全力を傾注する決意であります。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷 一彦

コラム(42) 2011年05月
21世紀を見据えた長野県づくりを
 このたびの東日本大震災は、我が国の観測史上、最大の規模であり、幾つもの街が壊滅するという、未曾有の大災害となりました。
 地震や津波により犠牲となられました方々に対しまして、心より哀悼の意を表しますとともに、長野県北部の地震を含め、一連の地震により被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。

 今回の地震・津波、更には福島の原子力発電所における放射性物質漏れは、まさに国難とも言えるものでありますが、我が国は、これまでも国民の総力を挙げて、幾多の困難を克服しております。
 国や関係自治体では、海外の支援も受けながら、人命救助・災害復旧に取り組まれているところですが、本県においても、ライフラインの復旧、義援金・義援物資の募集、保健師等の派遣、被害者の県内受け入れなどの支援を行っております。
県議会といたしましても、全議員揃って、被災地の一日も早い復興を願い、支援を行ってまいります。

 さて、我が国は、人口減少や少子高齢化など社会構造の激しい変化や、経済のグローバル化や情報通信の高度化、更には地球規模での厳しい環境・エネルギー・食糧制約といった資源制約等の課題に直面しております。
 一方、経済面では、2008年9月のリーマンショックから2年半が経過し、この間、我が国経済は、世界的な経済危機を背景に大幅に悪化した後、2009年春頃を底に持ち直しを続けていると言われているものの、民間需要を中心とした自律的回復には至らず、経済活動水準が依然として低いことから、デフレや厳しい財政状況という重荷を背負ったままの状況が続いております。

 こうした中で、歴史的な転換期にある日本の政治・経済状況下において、10年先の長野県を見据えつつ、明確な戦略と柔軟な発想、そして責任ある政策立案力で、今日の閉塞感を打破するべく、全力で県民のための県政を実現しなければならないのが、私どもに課せられた使命であると痛感しているところであります。
 そのためには、「改革」「安心」「活力」をキーワードに、新産業の創出や将来への安心確保を最重要課題として、迅速かつ適切な対応が求められております。先ず第一に、世界の成長力を取り込み、新産業の創出により、地域の潜在能力を最大限引き出し、商工業・農業の活性化と雇用確保を図らなければなりません。
 また、公共交通の確保、社会資本の整備に積極的に取り組み、活力ある地域づくりを進める必要があります。

 一方、本格的な少子高齢化社会の到来を迎え、高齢者福祉、医療、子育て支援の一層の充実に取り組み、将来への安心確保を図る必要もあります。
 更には、一昨年制定された「長野県議会基本条例」の理念に基づき、行政監視、政策立案、情報公開を軸に、選挙区・議員定数や議員報酬等の見直しにつきましても、真に県民のための「議会改革」として取り組まなければなりません。更に、県議会活動を県民の皆様に、より御理解いただくために、「県政報告会」等にも積極的に取り組んでまいります。 
 最後に、日本国憲法の理念の下、住民に身近な行政は、地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うようにするとともに、地域住民が、自らの判断と責任において、地域の諸課題に取り組むための「地域主権改革」の実現に向けて、責任を持って実行していく所存であります。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷 一彦

コラム(41) 2011年04月
今こそ日本復活をめざして
 この度、4月10日に挙行された統一地方選挙県議選において、有権者の信任を頂き、5期目の当選を果たすことができましたことに対し、心から感謝申し上げます。激動の21世紀を深く認識しながら、これからも緊張感を持って真に県民のための議会活動に全身全霊を捧げ、県民生活の安定のために努力する所存であります。

 戦後日本の最大の試練である3.11大震災は歴史的に近代国家の概念から言えば、世界史的にも極めて深刻な状況と思われます。現在の世界システムは、16世紀西ヨーロッパが出発点と言われますが、18世紀にポルトガルの首都リスボンを襲った大震災と津波は、ポルトガル没落の要因の1つと言われますが、いずれにしても今回の災害は、日本の政治・経済・社会に与えた影響は未曽有のものに違いありません。日本の危機が中東の政情不安定とともに、世界の経済に対し、一層混迷を深めさせるものと危惧されます。

 江戸幕府の崩壊、第二次世界大戦に続くこの度の震災を、第3の敗戦と位置づけたとしても、日本は立ち止まっているのではなく、この惨劇を越えて次の時代を構築しなければなりません。日本復活に向けて政治は小異を捨て、小さな政治からの脱却こそ最大なる政治課題であります。直接的被害額25兆円ともいえる中で、復興国債をはじめ、財源捻出に高度な政治判断を早急にしなければならず、米国は9.11の際には政府と連携して議会はテロ後3日で復旧とテロ対策の補正予算を組んだことを想起する時、日本の政治の機能不全とスピード感の余りの無さに強い危機感を持たざるを得ません。歴史家アーノルド・トインビは、その名著「歴史の研究」における壮大な歴史観の中で、挑戦と応戦を示唆し、そのロジックに学ぶべきところは、多々あります。文明は、逆境の中で育まれ自然環境からの挑戦に対し、人間社会がそれに応戦し、それを克服した時に新たなる文明が発生すると指摘しております。

 先に述べた通り、開国を強いられた幕末の日本は、明治維新により応戦、第二次世界大戦後の応戦は経済大国によって成功、この度の大地震と大津波という挑戦に対し、どのように応戦していくのか日本の鼎の軽重が問われる昨今であります。今こそ真の変革をなさなければ日本は衰退の道を辿ることでしょう。日本が直面する今日の課題に対し、日本が勇気を持って課題解決に道を開けば新しい文明社会のフロントランナーになれるのであります。

 日本が直面するこの国難は、経済のみならず政治も同様であります。近年の日本の政治の不安定感の中、この大災害に対し強力かつ決断力、責任感を持った政治が必要不可欠であり、態勢を早急に整えなければなりません。与野党対立を越え、大極観に立った政治判断が今ほど必要な時はありません。最大の問題である原発事故対応は、日本の盛衰の分水嶺であります。日本経済の産業分野における高性能部品の供給不足は、世界経済に大きな影響を与えております。1990年をピークとした20年に渡る日本の停滞の要因は、政治的指導力の喪失と官民連携の破壊によるものであります。文明論的には、都市政策の観点から太陽光を中心とした新たな文明観の構築を視野に入れるべきと思われます。
 神や仏を敬う日本人の魂の喪失と経済合理主義の追求の果てに、今日の災害が発生しましたことは、誠に残念でなりません。この際、21世紀の国家戦略を明確に提示し、世界の英知を総動員して、この危機を超克してこそ、日本は新しい歴史の門出に立つことができると思われます。
長野県議会議員
自由民主党県議団
団長 本郷 一彦

コラム(40) 2011年03月
地方政治の果すべき役割
 今日、日本は経済・財政の破綻、政治のリーダーシップの迷走という三重苦に加え、独立と主権の危機が重なり、戦後体制という既存秩序を経て、健全なる自由社会を柱とした新たなる主権国家日本の針路の確立が今ほど求められる時はなく、戦後体制を支えた企業システム、雇用システム、社会保障システムなど、各種社会システムや一億総中流を志向した理念のもとに進められた、各般の政策の結果が福祉社会の行き詰まりと財政危機をどう克服するかという、歴史的経験のない、より深く重い事態に陥っております。

 従って成長と分配のバランスの取れた構造改革を基本路線としながらも、現状の漂流する日本政治の重要テーマに関する先延ばしと対処廃法では、立て直しは不可能であり、故に地方分権地方政治の果すべき役割と責任は重く、この閉塞感を打破するには国の実力は地方に存するのたとえのごとく、長野県をはじめ地方政界に割拠する有為なる人材の理念と新たなる発想力と行動力であります。

 欧米を中心として世界経済はリーマン以後、本格的な解決はしておらず、新たに発生した中東アフリカ問題の根は深く、世界は戦後最悪の同時不況に入る可能性も否定できません。今後、日本にも世界経済の構造的不況は時間差で迫ってくると思われ、中国も同様であります。

 従って中長期的には、財政再建は極めて重要課題と認識する中で、今迫りつつある危機に対し、県民の暮らしと安全を守るため県当局は強力で先鋭的な実効力に富んだ経済対策を早急に講じなければならないと思われます。

コラム(39) 2011年02月
地方議会の新しい針路
 平成23年4月の統一地方選は、日本再生の第一幕であり、極めて重要なターニングポイントと認識しております。自由民主党は、真の責任政党、国民政党として健全なる自由社会を目指すべく、戦後復興、国家再建の為、基本的には多くの国民の理解を得る中、今日の日本の姿を造形して参りました。同時に制度疲労や政治姿勢等、謙虚と原点にかえり、大敗から1年半、多くの山積する課題解決に向けて華やかさはありませんが、着実に努力をしてきた結果、国民の皆様から除々に安定した評価が定着しつつあることも事実であります。

 自由と民主の理念のもと、守るべき価値である日本の伝統文化に立脚した、真に国民の為の進歩を希求する保守政党としての矜持に立ち、歴史的転換期にある今日の日本の状況下において、自由民主党の果すべき役割は、かつてないほど重要な位置づけであることは、普遍的国民世論となりつつあります。

 日本を立て直す2011年はその意味で節目の年にあたり、そのスタートが平成23年4月10日投票の県議選と認識しております。我が党の政治責任を明確にし、あるべき日本の国柄を提示し、国家観と保守の政治哲学のもと、主権国家として政治家は新しい21世紀の日本について語らなければなりません。

 とりわけ地方政治、地方議会の発想力は、我が国の未来への挑戦の基盤であり、地方政治の中核的指導力を地方議員が発揮せずして地方主権は存立いたしません。行政監視力、政策立案能力、情報公開を軸に、本格的な地方議会の真の力量が試されるのが今日における日本の政治再生の本質であります。

 私もそのような理念の上に立ち、新しい時代の新しい地方議会の針路の造形に向けた最大なる努力をする決意であります。

コラム(38) 2011年01月
激動の2011年のスタートにあたり
 今日の日本を全体状況を考察すれば本格的な「危機の時代」が到来しているという認識に立つべきと思われます。昨年末の一連の外交安全保障問題への対応に限らず、主権国家としての我が国の「国家としての基盤」が崩壊の予兆を見せ、とりわけ自国領土を保全する意思を喪失した国家意思の桎梏は、極めて深刻なものであり、日本の政治状況は現在出口戦略なしの状況下にあります。

 同時に円高・不況・雇用など経済的側面でも経済大国の終幕を予感させ、これらを俯瞰すれば16世紀から展開してきた近代資本主義が大転換期を迎えており、中国の台頭、欧米の停滞、日本の衰退というフレーズが囁かれる中で、日本経済は為替、株、財政問題に加えて日銀は、ゼロ金利によるリスク資産をも買い込むなど、政策の方向感に統一性がなく、結果、国民所得水準と国際社会における我が国のプレゼンスの低下は予測を超えた早さで進んでおります。

 この傾向が5年続けば、日本はアジアの片田舎になるというエコノミストの指摘は、あながち無視できないものであり、停滞衰退を打破した明治維新がメディアで注目されるのも、その証左に他ならないと思われます。パックスアメリカーナが急速に劣化し、アメリカの覇権の根源である基軸通貨ドルも、50兆円を超えるの金融緩和政策によって、いずれその正当性に大きな課題を突きつけるものと思われます。従って、多極化する21世紀の中で、政治が各般の処理能力を失いつつある今、日本がなすべきことは、安全保障はもとより経済戦略を軸に国家目標を明確化し、後ろ向きの宿命論に決して陥らないことであり、経済政策及び税制、社会保障制度の抜本的改革と、日米同盟の再建、インテリジェンス体制の強化が今日の政治の最重要課題と思われます。

 このような複合的要素を含んだ多極化時代に立つ時、今求められる私達の政治姿勢は決然と、この難局を切り開く日本人としての身じろぎもしない気概を持つことではないでしょうか。

 かつて、トインビーは日本の近代化は人類の奇跡と評価いたしましたが、今後のキーポイントの第一は、海外の成長力を取り込むこと。第二は新しい産業を創り出す、その為の良質な仕組みを作ること。第三は社会制度で将来への安心を確保する。この3点に絞られますが、そのような認識の上で、本年も県議会を通じて全力で努力する所存であります。

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