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コラム(25) 2009年12月
激動の2009年を回想して
 激動の2009年も終幕を迎え、改めて現代政治、経済の急速な変容に驚愕致します。日本における政治の転換期も第一幕が始動し、今後どのような真の政治改革が行使できるのか、そのシナリオは不可知であり、明確な国家戦略やビジョンを提示できぬまま、国政は表層的課題にエネルギーを散乱し、真の国家国民のための政治行為から離反し、政党論以前の現況にあります。
 国際社会における国家の行動原理の基本は、国益の拡大であり、ひいてはそれが国民益と結合するのが政治のリアリティーであります。しかしながら厳しい国際政治の中にあって、グローバルリズムが普遍的理念となりつつある今、日本は残念ながら国家として急速にその存在感を薄めつつあります。
 米国は、多様性を新大統領のもとに基本理念としていますが、内実は米国の政治、経済の衰退に他ならず、日本・中国両国だけで約千数百兆円に上る米国の債務は、財政論的見地からみても、米国の覇権に大きな陰りを見せております。
 従って、逆説的には各種国際会議を鋭く分析すれば、米国及び中国のG2体制の堅持こそが2カ国にとっての国益であり、世界の政治経済は、そのような視点からの考察が基本要素であります。
 日本政府はデフレ宣言をしながらも、金融・財政政策に対する戦略的方針も見出せず閉塞的状況にあります。従ってデフレスパイラルと言う最も悪しき経済環境下、新しい時代に対する経済成長戦略を政府は大極的視点から、真に日本国民のために早急に提言しなればなりません。
 一方、地方経済の実体は、想像を超えて疲弊し、失業率及び有効求人倍率ともに、戦後最大の数値であります。GDPも500兆円を切り、中国が2010年、日本を抜き第2位になることが明確になる中、政府の予算編成の方向は、将来展望に欠けた短期的視野による財源カットであり、宇宙技術やハイテクノロジー、大学の研究の削減等、21世紀を見据えた長期的複眼性に欠け、経済が縮小均衡に陥る極めて危険な政治判断に他なりません。
 戦後復興、高度成長を実現した保守政策は、概括的には評価すべきものであり、昨今の政治状況を見る時、新たなる政権にこの成熟した日本国家を運営する決意と力量が真にあるのか、懸念を禁じ得ません。
 経世済民の政治思想を思うとき、経済成長戦略を明確に表現せず、果たして国家運営への覚悟と実行力について、与党の一連発言を見た時、国民はその本質を実は正確に分析していると思われます。これからの時代は必ずしも政治にとって、国会議員は決してメジャーではなく、地方自治こそ政治の基本と思われます。故に国政は外交・安全保障につき、全力を傾注すべきであり、細部の各政策につき、執拗に固執することなく、大方針を適格に明示し、新しい時代・新しい坂の上の雲が何であるか、国民に知らしめる責務が国会議員の役割に他なりません。
 新しい発想と熟達した経験高い政治技術と公の志なくして、多様な社会性の堆積の希薄な政治家と偏差値秀才による政治主導は、結局のところ真の政治改革の実現は、破綻に陥ると思われます。
 我が長野県は、そのような悪しき状況下のもと、地方自治の理念に基づき、リアリティーに富んだ政治行政の実践を行使しなければならず、財政再建、行政改革、経済政策、社会福祉、教育、環境等、中間行政としての統治能力が今ほど求められる時はありません。国政が迷走し品格を失った今こそ地方政治は、その主導性を発揮し、県民のための政治の復権を図る時であります。
 本年一年間の社会を回想する時、いずれにしても社会工学的に最も強い影響力を持つ政治の責務に対し、深く思いを致さなければならず、真に県民の皆様のための県議会として、勇気ある挑戦こそ、私達に馳せられた最大の課題と思えてなりません。

コラム(24) 2009年11月
新しい日本の針路への挑戦
 55年体制以来の大きな政治状況の変化の現在、政治は憲政史上においても極めて異形な歴史的変動の中にあります。政党の存在は、新たなる人材の育成や時代に対応したメカニズムを構築する努力を怠れば、必然的に党の旗印は色あせ衰退の傾向を辿ることは過去の政党政治の歴史が証明しております。次なる時代における政党の最重要ファクターは、先ず国家ビジョンを明確にし、次にそのための具体的な政策や財源的裏付けをすることであります。全体像とマクロ的視点が欠けた個別政策を羅列する整合性のないマニフェスト原理主義は、極めて俯瞰性を喪失する危険性が高く、混迷を深める国際政治の状況に立脚した中長期の国家の姿をこの際、各政党は国民の皆様に分かりやすく提示する義務があると思われます。
 今、政治指導者の成すべき重要テーマは、この国の針路を決定する根源的な思想や理念の確立であります。憲法・外交・安全保障・教育といった国家的課題の背骨について、自信を持ってメッセージを発信すべきであり、次の時代に向けた新しい党の理念や哲学を明確にし、新たなる政権ビジョンへの強い意志を持つことこそが、真の議会制民主主義の習熟に他なりません。
 今日、日本にとっての政治情勢は、来年度予算の歳入減がマイナス8兆円とも言われる現況下、時間の余裕はなく、どのような形で国民生活を保持するのか、その戦略いかんでは日本経済に与える衝撃は想像を超えるものであります。一方、東西冷戦構造の崩壊は、戦後という意識を埋没させ、今や国民の70%がポスト戦後世代という事実を認識する時、政治環境は劇的な変化を遂げました。国民意識の中に保守・革新という概念がフラット化し、自民・民主の相対感が希薄となり、政党のアイデンティティーの確立が困難となる社会情勢であります。政治は、終わりなき戦いとも比喩されますが、政党活動は、どのような状況にあっても常に強い政権への意思を持つ必要があります。そうした見地から解析すると、巨大な政治エネルギーを消費した8・30は、大きな社会変動の予兆とも思われますが、逆に現状を冷静に見れば、本質的な政治改革となりえるのか、極めて不透明な状況であります。
 高度経済成長第一主義による政治解決から、新たなる文明社会への移行期、真に社会の歴史的変化の実現を国民が希求する中、自民党の再生を願う有権者が70%を超える事実は、我が党の再生の為には、まずは政治家の資質能力の向上が最重要であります。
 我が国の官僚制度は、大久保利通が内務省を作り、その歴史的力学を考察した時、脱官僚と言ったお題目だけで真の政治改革は不可能であります。政治のリアリズムを的確に掌握し、政治家は国家のビジョン及び大方針に責任を持ち、専門性の高い官僚テクノクラートをいかにマネージメントし、時代の要請に耐えられる新たなる政策体系を創りあげることこそ、政治主導の要締と思われます。国家権力をいかに国民の為に作動させるのか、その為の力量ある真の政治家が今ほど求められる時はありません。行政実務的政治ではなく、より複合的重層的で弁証法的とも言える人間力学を屈指してこそ、真の政治行為と言えます。憲法に対する基本認識や議員立法の活性化等、国民が国会議員に期待する事柄はそうした骨太の基本姿勢であります。
 真の政権担当能力とは、一般的な行政処理能力では決してなく、より国家国民の為の戦略的政治的感性であります。近代合理主義と効率性重視の現代文明が歴史的転換期を迎え、地球環境問題を主軸に、あらゆる分野の価値観が大きく変化する中にあって、日本の卓越したテクノロジーと恵まれた自然、優れた美意識に育まれた自然観や文明観をもとに、新たなる政治の再生が必ず実現できるものと思われます。
 我が党の歴史を回帰すれば、戦後の55年体制からスタートし、経済成長に主要な役割を果たし、企業の技術改新への支援を軸に、企業の収益力の確保と安定した雇用を最重点として参りました。戦後の行政構造の抜本的見直しについても、幾多の歴史的努力と時代への現実性を持ちながら、国民生活の確保の為、多角的で多様な選択肢を構築し、結果アジアにおける奇蹟とも言える経済発展を築き、今日に至っております。
 他方、与党は無駄の圧縮による財源の捻出については、表面的形式論を脱皮できず、国債発行の増額についても従来の発言から早速軌道修正が顕著になっております。これ以上の財政赤字の累積は、長期金利の上昇をもたらし、財政構造に対し危機的状況が表面化し、企業の投資条件の悪化と言う二重苦の中で、日本経済の失速が懸念され、極めて深刻な経済・雇用状況が予測されます。
 政権の細部における各分野の評価はともかく、重要なことは、まさに日本の政治行政が経済への俯瞰的視野に欠け、政権担当への覚悟が本質的に希薄に感じられることへの危機感であります。
 21世紀、高齢化社会の日本にとって、医療と介護こそが、主要な成長分野であり、大きな視野で見れば、社会保障制度の充実こそ経済政策に他なりませんが、それさえも骨太のビジョンの提示がなく、ましてや行政実務は進んでおりません。
 明治維新の成功は言うまでもなく、国家ビジョンが明確に提示されたことにあります。富国強兵と拓殖産業であり、戦後の池田内閣は所得倍増計画と言う極めて国民に分かりやすいメッセージであり、且つ大極観に立った政治経済戦略でありました。
 我が党の低迷の分析については、既に各層からご指摘のごとくであり、比較第2党として新たな発想を持って理念の再構築と新しい時代を先取りした、戦略性の高い政治的目標を的確に発信する必要があります。11月3日の朝日新聞によれば、中長期的な観点での政党支持は、70%が自民党という回答の意味している所は、国民意識が極めて鋭い視線を持っていることの証左であります。加えて与党の運営方針も画一的単線的で、地方の意見を的確に集約できず、システムとして実際の運用面で不備が多く、いずれ各セクターにおいて困難状況に直面されると思われます。
 成熟し世界第2の経済大国日本の国家運営は、複合的な要素を充分に認識し、その舵取りは高い政治技術力と人間関係論を熟知せずに遂行は困難であります。内憂外患、まさに政治の責任は重大であり、今日の新しい政治状況の本質は、第1幕のスタートから不透明、不安定であり、各分野で断層が生じております。
 政権交代が唯一目標であった現与党は、その実現の後どのような国際関係、どのような日本政治、どのような日本社会を目指し、真に身を挺して国家改造を実行する力量と覚悟があるのか、予算委員会の新人議員の均質的、画一的な反応を見た時、果して彼らは国家を背負う使命感と、その責任の重大さを本当に感じているのか、まさに驚愕でありました。
 そうした直近の総合的政治動向を解析した時、国家存立の根幹を脅かす日本の相対的貧困率15・7%、世界第2のデータを見るまでもなく、政治にかかわるものは、今こそ日本国家の本質的危機を深く自覚し、世界における日本をどのように進路づけるのか、そして新たしい地域主権国家実現の為、何をすべきなのか、まさに新たなる時代に向けての勇気ある挑戦する気概を改めて持つことこそが、政治家にとって今、最も必要なことと思われます。

コラム(23) 2009年10月
政治は真の覚悟と勇気と行動を
 世界の政治経済の現状は、リーマンショック以後、表面的には当面落ち着きを見せているかに見えますが、将来展望をもった持続的な回復の道筋は、ほとんど描き切れてはおりません。断続的に行われた一連の各種国際会議においても明確な出口戦略は提示できないことがその証左でもあります。
 従って日本経済も総体的には同様の環境下にあり、本質的な打開策は不透明感の中にあると言っても過言ではありません。個人消費、設備投資は低迷し完全失業率5・7%、有効求人倍率0・42%のデータは改善されず、360万人とも言われる失業者は、戦後最悪の事態であり、社会問題として内在化しており状況は深刻であります。先進国の経済成長は、今後10年は中国を除けば1%〜2%との予測が一般的であり、リーマンのつめ跡は極めて深いと認識する必要があります。とりわけ地方経済の状況は各種データに示されており、特に製造業の倒産は、従来の3倍と言われ、輸出依存度の高い長野県は、直接その影響を受けており、2020年までの各都道府県の成長率を予測した信頼できる有力なシンクタンクによれば、長野県は全国31位まで下落という衝撃的な数字が出ており、抜本的な産業経済政策の構築が迫られております。
 一方、国内金融の自己資本不足は、企業への貸し渋りを増長させ地方中小企業の先行きは、極めて困難な経営環境にあります。これら一連の経済情勢の根本問題は、20年前の東西冷戦の終結による世界経済のグローバル化に起因するものと思われます。
 人、物、金が厚いブロックから解放され、国家を越えて地球規模で動向した結果、特にマネーは有利な投資先を求めて急速に移動を始めました。それと連動してIT革命がその速度を一層加速させ、市場原理主義が世界経済の普遍的な理念となったと思われます。その結果、20年を経て中国の経済的再生が軌道に乗り、冷戦終結前には予測不能な風景が登場したわけであります。
 冷戦構造崩壊の2〜3年のち、日本はバブル崩壊が発生し、時代は「失われた10年」へと突入していきました。巨額な不良債権の発生により、日本経済が長期の停滞に陥り、860兆円とも言われる世界史上類のない財政赤字を残しました。中でも製造業は直撃を受け、生産工程の分割の中、海外への工場の流出を含め、今日に至っております。
 日本全体の勤労者の3分の1が非正規社員という異常事態は、安定した日本の労働環境を一変させ、終身雇用や年功序列制度が瓦解し、11年間連続3万人をこえる自殺者の統計を見るまでもなく、今日の状況は社会病理とも言える日本の経済社会の危機であります。
 このように、20年間を根源的に検証すれば、冷戦崩壊後の金融資本主義の嵐は、日本の持つ本質的な特性に深い傷を与え、日本の伝統・文化・精神性に取り返しのつかない禍根を残し、現代青年の孤独感や虚無感はベストセラー作家である村上春樹最新作1Q84の中に色濃く表れております。
 こうした現状を冷静に分析する時、現代政治は社会全体を覆うカオスと不条理の中にあって、21世紀のあるべき日本社会の姿を明確に提示し、強いメッセージを発信しなければなりません。現代文明の現状を客観的に洞察し、豊かさの中の貧困解決に向けて、楽観的な理想主義に陥ることなく、高い志と高度な政治能力が今ほど求められることはありません。経済の2番底のシナリオが不安視される今、政治は気取りをなくし、真に国民のための真の覚悟と勇気と行動を持って、この難局打開に向けて、全力を傾注すべき時であります。

コラム(22) 2009年09月
保守再生に向けて新たなる時代を
 この度の8・30の結果は、大局的には閉塞感の強い日本の社会情勢に対し、新しい保守再生に向けた歴史の第1幕が開かれたと認識すべきと思われます。更に俯瞰的に考察すれば冷戦崩壊後、急速に進む各般におけるグローバル化の中で、激変する国際政治経済に対し、明確な国家戦略と国家意思、更には新たなる理念と方向性を提示できぬまま漂流し続けた政治への不信と不安感への現れと思われます。
 5・7%の失業率は360万人の失業者を生み、6%を超えることも視野に入ってきております。一方、米国は9・7%ユーロ圏においても9・5%、青年層は19・7%という直近のデータを見ても、行き過ぎた市場原理の問題が世界的問題となってきております。
 地方経済の衰弱、雇用危機、少子高齢化、社会保障の制度疲労、財政危機等、そうした各分野における情勢は、政治が未来ビジョンに対し思考停止状況にあると思えてなりません。
 8・30の国民意思は、そうした危機意識から真の政治の指導力や構想力、実行力への警鐘と思われます。従って、歴史的試練を経て、日本の議会制民主主義を深めるためにも、時代の本質的変容を厳粛に受け止めるべきであります。
 21世紀の日本政治は、真の自由社会の実現を理念に、二大政党制時代に向けて国民が舵をきりました。少子高齢化が急速に進む日本にとって、厳しい経済の停滞感の中で、日本政治は政策の優先順位を基本とする政治が、その基本路線となると思われます。政治は納税者の受益と負担の新たなる均衡を提示しなければならず、行政執行のプロセスとその透明性は、より一層求められます。
 我が自民党が昭和30年保守合同により結党以来、冷戦下において日米同盟を基軸とした専守防衛や経済成長を理念として、幅広い国民の支持を得て参りました。その歴史を大枠で統括すれば、岸内閣における日米安保条約改定、池田内閣における所得倍増計画、田中内閣における日本列島改造、大平内閣における田園都市構想、中曽根内閣における国鉄・電電公社の民営化などが、その主要なものでありました。
 こうした国家戦略とともに地方振興、農業、中小企業対策、福祉政策など、広範に渡る政策実現は、野党の方向性にも柔軟に対応し、戦後復興や日本再建に重要な政治的役割を果たしてきたことは、多くの国民の理解を得てきたからこそと思われます。しかしながら、その後の内閣の経緯は、政策における総体的な体系性が希薄となり、重要な政策の絞り込みが弱く、今日に至っていることは冷静に解析する必要があると思われます。
 従って、今回の国民的判断の結果は、裏がえせば、4年前とほぼ同位置にあり、次回の戦いについては、まさに二大政党制の第2幕であり、従来の自民党政権の実績と課題を分析し、新たなる展望を視座し、本格的な国家国民の政策論争を進めるべきと思われます。
 明治維新、太平洋戦争終結による体制変革から、高度成長を経て21世紀の新たなる時代に対し、政治はその知を総動員して、この日本の難局に立ち向かわなければなりません。今こそ新たなる歴史的転換期にあって、日本の政治主導型実現には、政治家の高い志や情熱を含め、資質の向上が必要であります。そして最も重要なことは政治家の強い意志であり、その上に政治家の能力主義や能力向上こそが、政治復権への基本であり、まさに政治家の構想力が日本の命運を決すると言っても過言ではありません。
 立法府と行政の役割区分に透明感を持って明確にし、大方針と社会ビジョンのもとに政府は、党の重要公約を基本に行政テクノクラートの機能を十分に生かし、政策を実現することが最重要課題であります。
 新たなる政治制度のスタートの年でもある今日の状況は、自民党にとって再生への機会と積極的に受け止めるべきであると思われます。昨年来の世界的規模での経済危機は、新自由資本主義の問題点が一挙に現れ、格差問題を中心に急速に社会化いたしました。従って我が党も自己改革と明確なビジョン提示の機会と捉え、世代交代と党内の新しい風を起こすべきであります。8・30はそうした意味で、日本政治の全体像が浮上し、漠然とした閉塞状況を打開すべく、国際政治及び国内政治を常に両睨みし、民主主義に内在するポピュリズムを注視しつつ、真の国益や国民益のための政治の執行を、自分自身の問題として捉え、次なる時代に挑戦する気構えを自由民主党が持つことこそが、その使命と責務だと思われます。

コラム(21) 2009年08月
未来への成長戦略を
 昨年10月以降の世界経済の下義道は、一時的な不況の波ではなく、産業社会の根源的な構造変化として認識する必要があると思われます。冷戦が終結してから早くも20年が経過し、資本主義を客観的分析することを怠り、結果として資本主義が暴走し今日に至っておりますが、その主たる要因として政治の責任が極めて重いと思われます。
 政治のポピュリズム化や、市民社会の未成熟といった日本の政治風土の中で、政治の主権者である国民の方々は、常に「公」の観点から政治に今後、立ち向かわなければならないはずであります。
 今日、所得の再配分の議論が中心となり悪化する経済環境の中、財政出動はやむを得ないとしても、とりわけ他党の大胆な振る舞いは、中長期的に持続する可能性は少なく、幻想に過ぎません。
 今、日本において基本的に欠けているものは未来を切り開く長期的な成長戦略と明確な国家ビジョンの提示であります。少子高齢化・地方及び農村の衰退、社会保障制度の疲弊等々、それらの重要課題解決への道は、質の高い成長戦略の早急な立ち上げであります。
 地方・環境・介護・医療・農業をはじめ、日本の持つ各分野の技術やポテンシャルは極めて高く、こうした分野を軸に成長戦略を進化させるべきであります。
 一方、世界の潮流は急速に変化し、先の米国と中国とのG2がその大きな方向性の転換期となり、大国の一極支配が揺らいでおります。イラク戦争による戦費が300兆円とも言われ、サブプライムローンへの対応として、大手金融機関や企業への公的資金は約760兆円と言った米国の財源状況は極めて異形であります。この増大する米国の財政赤字を一番に支えているのが中国であり、先のG2の背景が解析できます。
 日米同盟により、米国とさえ歩調を合わせていれば良いという過剰な米国依存政治から、いかに自律し明確な国家戦略を持ち得るのか、今こそ21世紀の新しい日本の進路を造形する時であります。その為には日本の長期ビジョン及び大方針作成にあたっての政策の基本となる思想の基盤を造成しなければなりません。墜落したバラマキ政策でなく、景気・雇用・福祉・医療・介護等につき、まさに選択と集中をいかに有効に作動させるのか、ポピュリズムの流れをヘッジするものは思想に裏づけされた質の高い政策実現であります。
 深い政治思想は、哲学の投影としての施策であり政策でなくてはなりません。そのためには、多くの国民の方々が政治参加に積極性を持ち、健全な自由社会の創設の為、政治参加こそ誇るべき行為であります。
 今日の政治論争のレベルは、益々政治空間を縮小させ、政策選択の根拠を本質的に喪失させていると思えてなりません。そうした中、世界の中でアジアの中で、どのような政治の指導力を発揮するのか、悪化する財政や経済情勢の中、真の政治復権が求めらます。次世代の為の成長動力を創造し、大局論に立った論争こそ、今、最も重要なことであります。
 戦後政治最大のこの危機を切り抜ける力と逆境を乗り越える力こそ、今、日本の将来に向けた政治のリーダーに求められる基本資質であり、私もその創造に向けて全力を傾注する所存であります。

コラム(20) 2009年07月
新しい時代、政治の責任、自律した地域主権の確立を使命として!!
 混迷を深める現在の経済情勢の中にあって、金融政策及び財政政策を騒動員した結果、一応は景気の底割れは回避したと思われますが、金利情報や深刻な政府の財政悪化、国債市場については引き続き注意深く、その動向を見ていく必要があると思われます。
 資本が異常なまでに増長し、将来性ある実物投資先を喪失した今回の環境は、資本の証券化という人為的原因による必然新しい時代、政治の責任、自律した地域主権の確立を使命として!!的に金融市場のバブルが破壊したと思われます。
 本年4月5月の日本経済は、マクロ的には一部にやや明るい兆しが見えつつありますが、これは2四半期続いた戦後最悪のGDP2ケタマイナス成長への反動調整と認識すべきものと思われます。今回のバランスシート不況は、金融市場における資金流動性が停滞した結果、この状況は基本的には長期化を覚悟しなければならないと思われます。
 新興経済大国中国を中心に、BRICKS等は比較的高い経済成長を維持していますが、世界経済全体の視点から見れば、本格的な機関車の役割を果たすに至っていないのが、現状と思われます。従って、経済回復が実体として表れるのは2年後と見るのが冷静な判断と思われます。とりわけ本質的な構造変化であります。今回の不況は環境や医療といった新たなる分野へ経済政策がシフトされ、現在は真に新しい経済社会への転換期と考えるべきです。
 21世紀における国家・国民・国益を視座する時、食料・エネルギー・防衛といった総合安全保障に対しても、明確で大きな視野に立った大方針と戦略を政治は早急に提案しなければなりません。一方社会保障制度の一層の充実とその実現のための財源確保、さらにはその裏付けのため新たなる産業政策の確立に向けて今日ほど政治の責任が追求される時はありません。
 成熟した日本社会にあって質感の高い理念のもと、新しい時代にむけて安定感のある諸施策を地方も自律した精神と自己責任に立脚して、自ら構築する時代となりました。他力本願ではなく、地域主権のもと県政はその指導的役割を果たさなければなりません。著しい地方経済の悪化と県民の生活の低下を重く受け止め、経済成長と健全財政という複合的観点を両にらみしながら、県民の生活と福祉向上に向けて新しい発想力を持って、積極的な政策立案なくして長野県の再生はあり得ないと思われます。
 私も議会の立場からそのような危機感と使命感、志をもって全力で頑張る決意でありますが、皆様からの一層のご指導をお願い申し上げます。

コラム(19) 2009年06月
県民生活の安定に向けて大胆な景気対策を
 世界的な経済危機が続く中、先般国会において総額15兆円の過去最大の補正予算が成立致しました。
 事業規模にして約60兆円を超えるものであり、現在のわが国の重要ギャップが約50兆円と言われる中、極めて有効な景気対策と思われます。
 経済の底割れを回避すべく、未来を見据えた総合対策であり、その主なものは「子育て応援特別手当の拡充」「安心子ども基金の拡充」「修学が困難となった学生への支援」「地域医療再生基金創設」「子宮頸がんと乳がん検診の無料」「介護職員の処遇改善」「住宅取得のための贈与税減税」「エコカー購入時減税プラスの補助制度」「エコ家電へのエコポイントサービス」「スクールニューディール構想」「雇用調整助成金の拡充」「訓練生活支援給付金の支給」「失業による住居を失った人に対して新たな支援」「地方活性化のための新たな交付金の創設」以上であります。従いまして、長野県といたしましても、国の景気対策と連動して6月県会に向けて、長野県新経済対策「暮らし地域力向上プロジェクト」大網案を発表し、「環境」「産業・雇用」「健康・子育て」「安全・安心」を主に事業規模で約700億円の景気対策を発表いたしました。
 日銀松本支店は、4月の長野県金融経済動向で1年8か月ぶりに景気判断を引き上げ、一部に下げ止まり感があると認識し、その主なる分野は情報技術・自動車関連製品県民生活の安定に向けて大胆な景気対策をで、一部生産改善が見られたことによります。しかしながら、最悪期は脱しつつあるものの、長野県経済全体は、引き続き極めて厳しい環境下にあるものと思われます。
 従いまして、県議会といたしましても、この度の新経済対策主要4分野92項目につき、建設的な議論を通じ県民生活の向上のため、実効性とスピード感のある具体策を実現すべく最大限の努力をいたします。
 また、地元松本市と県政との共通課題である「健康寿命都市松本の創造プロジェクト」「地域公共交通の活性化」「信州まつもと空港の活性化」「JR中央東線の充実」「療育センターの設置」「技能五輪全国大会主会場についての態勢づくり」「中部縦貫自動車道158号線における奈川渡ダムから下の5ヶ所のトンネルの早期改修」「国道19号松本市内拡幅の整備促進」等を中心に、その早期実現に向けて努力を傾注いたします。
 世界政治経済が多極化し、新しい時代を迎える中にあって、中国経済の各分野における躍進は、米中のバランスオブパワーにも大きな変動を与え、日本も真の主権国家として、外交・安全保障につき自律した明確な方針を打ち出さなければなりません。食糧(WTO問題)エネルギー、防衛を軸に政治の果たす役割は極めて重要な位置づけになっております。一方国内においても、社会保障制度(年金・医療・介護・雇用)の新たなる設計図を構築し、21世紀に展望の持てる経済社会確率が早急に求められます。そうした複合的で重層的な課題が山積する中で、地方主権国家を理念として、いかに地方が財源・権限・人材の三要素を確保し、21世紀の地方政府を構築するかが、最大のテーマであります。
 私も、皆様も強いご理解を頂く中、県会議員としての使命を更に自覚し、政治を通して希望の持てる長野県実現に向けて、最大の努力をする所存であります。

コラム(18) 2009年05月
真に安全・安心社会の実現とともに新たなる社会保障制度の充実(年金・医療・介護・雇用)を確立します
 国際社会の警告を無視し、長距離弾道ミサイルを北朝鮮が発射したことは、北東アジアにおける安全保障が極めて流動的であるということを改めて深く認識させられました。
 ノドン・ミサイルは既に1300キロの射程を持ち、日本全土が脅威となります。この度のミサイルは3000キロ以上の性能が立証され、日米同盟の隙を突く戦略的意思に他なりません。こうした現況下、地方議会においても安全保障に関する基本的認識と危機感は、常に持たなくてはならず、グローバルな視点と地域問題を共有すべく、この度、長野県議会総合安全保障問題調査議員連盟が設立されました。
 また新型インフルエンザの感染拡大により、世界保健機関(WHO)は警戒レベルをフェーズ5とし、世界大流行一歩手前という状況であり、従って世界的大流行と認定されるフェーズ6にいつ移行しても不思議でない事態と思われます。
 私達安全保障議連は、テロや災害、感染症といった身近な危機管理も視野に入れながら、我が国わがふるさと長野県の安全・安心の確保のために議連の立場から、その対応につき迅速適切に対応する所存であります。
 経済的側面から考察すれば、この度の新型インフルエンザ問題は今日の世界が情報交通アクセスの急速な発達により極めて狭小となった結果、その打撃は想像以上のものとなる可能性があります。経済アナリストの予測によればフェーズ6の場合、世界経済への影響はマイナス4%とも言われ、戦後最悪と言われる今日の経済情勢に新たな懸念材料が加わり、カギを握る輸出の復調も明確でなく、本格回復の道は依然として不安定のまま推移しております。
 日銀が3月30日に発表した「展望レポート」によれば2009年度の日本の実質国内総生産成長率をマイナス3.1%に引き下げました。日銀は長期国債の買い切り増額、コマーシャルペーパー、社債の買い切りなど、最大限の努力はしておりますが、需要不足に追いつかず苦しい状況が続いております。国はこうした事態と深刻と受け止め、15兆円の財政出動を決定し、事業規模5兆円という小渕内閣の倍とも言われる補正予算を提出し、5月中に国会において議決されるものと思われます。
 長野県においても21世紀の低炭素社会を目指し、環境・健康面を柱に政策を総動員し、5月中にまとめ6月県会に提案する方向であり、切れ目のない経済対策を続ける意思であります。
 一方、社会保障制度とりわけ医療・介護・福祉・雇用分野における再構築は、県政の最重要課題となっております。未来への責任として政治は、強い意志と高い志を持ち、今述べた4分野に対し、新しい時代に適応した明確なビジョンを提示し、年配の方々から赤ちゃんまで安心できる安定した社会の設計図を早急に政治は書き上げなければなりません。
 そうした観点からも、私も県議会議員としての責任と自覚を一層強く持ち、今後とも真に県民の皆様のための政治が実現できるよう、全力で頑張る決意であります。

コラム(17) 2009年04月
現状打破に向けて賢い協調を
 ロンドンで開催されたG20(金融サミット)は、全体で500兆円の財政出動の合意が成立し、金融規制、保護主義の回避についても大筋方向性が確認された。
 歴史的にも意義深いサミットとなり、ワシントンコンセンサスから国際協調路線へと21世紀はまさに多極化の時代となった。
現状打破に向けて賢い協調を そうした中、日本経済は3月の日銀短観の結果から引き続き厳しい経済状況が続き、失業率4.4%、有効求人倍率0.58というデータからも早急に追加の経済対策が強く望まれる。輸出依存の経済体質の変革、少子高齢化と総人口の減少傾向、100兆円と言われる財政赤字の構造問題に対し、中長期にどのような解決策を見出すことができるのか、政治の責任は従来に増して重い。従って総理は当面の対策に対し、4月6日、予算規模GDP比2%の10兆円を超える財政支出を支持し、過去最大規模になる見通しである。主要項目は、(1)雇用の拡大、(2)資金繰り支援、(3)エコカー、太陽光など新エネルギーの拡充、(4)介護・医療対策、(5)地方活性化の5分野に重点をおき、今日の経済危機に対応する考えと思われる。
 一方、長野県においても、本年度の予算執行方針を固め、自然エネルギー導入を軸に、緊急経済対策を柱とした2008年度補正予算に連動した切れ目のない事業執行ができるよう関係部局に指示し、引き続き5月に環境・健康などを基軸にした追加経済対策の検討に入った。
 いずれにしてもOPECの発表した2009年の日本経済は、マイナス6.6%と先進国の中で最悪であるが、この時こそ次なる時代を見据えた実態経済の転換期と認識し、低炭素社会の実現に向けて、大胆な政策立案を構築すべきである。
 金融資本主義から実体経済へのリセットは前向きに受け止めるべきであり、この試練を乗り越えることこそが、まさに日本のスマートパワーへのスタートと思われる。主役なき時代に忌まわしい歴史を繰り返さない為にも、賢い協調こそ21世紀の基本理念であり、政治はその主導性を一層発揮しなければならない。

コラム(16) 2009年03月
未来への責任 誇りある日本の再生
 21世紀の歴史をいずれ見識者が総括した時、今回の経済金融危機は、今世紀の重要なエポックメイキングとして位置づけられると思われます。深刻な閉塞感に包まれた世界の政治経済構造にあって、戦後初めての世界同時不況によるパラダイムシフトは、公的セクターの役割の拡大、アメリカのヘゲモニーの衰退、多様化という新たなる方向性を提示し、同時に予測を超えて急速に進展したグローバリズムは、世界経済と長野県経済を直結させ、あらゆる経済データは驚愕以外のなにものでもありません。
 長野県の命運を左右する本質的課題とは、戦略的意思を持ち、経済荒廃を防ぎ混迷を深める経済社会への懐疑を払拭し、新しい時代に対し積極的解決に向けて、重大な政治判断のもと、財政出動を軸に、政治的想像力と実行力を駆使して政策を総動員することであります。その為には今日の厳しい局面を脱却すべく、事態解決に向けて、新たなる政策構想の造形であり、更に重要なことは、政策論に傾注するだけでなく、県当局はこの難局に立ち向かう強い覚悟と意志を持って、新しい価値をいかに創造し、強く県民にそれをメッセージできるかであります。
 以上のような認識のもと、激動の時代に迫り来る大経済危機打破のため、自由民主党県議団は真に県民のための新たなる長野県再生に向けて、総力を挙げてその政治的社会的有効性を信じ、全力を傾注致します。

コラム(15) 2009年02月
世界と日本、長野県経済を取り巻く危機的状況について
 混迷を深める今日の世界の政治・経済を俯瞰すれば、サミュエルハンチントンを引用するまでもなく、21世紀は文明が世界動向の重要な要因となり、世界は大きく変容し、一層の多極化が進み、各国の個性ある価値観が主体性を持ち、まさに文明史的に大転換の時代に突入したという基本認識を持つことがじゅうようであります。
 一方オバマ新大統領を誕生させたアメリカの強みは、その自己変革能力の高さであり、新大統領は強い指導力のもと、国民とともに立ち向かう責任の時代を強調し、対話と国際協調路線に舵を切り、緊張関係にある各国との融和政策を打ち出し、多様性を理念としてスマートパワーを前面に押し出す新しい基本姿勢を明言致しました。
 そうした状況下、わが国は内政によって貴重な時間を費やし、激動する国際社会において、明確な国家意思の喪失と文明史的な理解不足により、政治総体が劣化し政府与党の75兆円に上る景気対策のうち、2次補正の関連法案が審議入りできず、予算が執行できない状況であり、まさに政治の危機であります。
 金融システムの暴走による第2次世界大戦後、初めてと思われる先進国同時不況は、日本の輸出立国モデルの終焉でもあり、2008年10月〜12月成長率マイナス10%、日銀の2009年GDP成長率マイナス2%という戦後最悪の予想データからも、現代日本が経験した精神的衝撃という点では、1929年の大恐慌を凌駕するものと思われ、企業と家計、設備投資と個人消費の低迷、さらには最大値、数100万人の失業者の発生予測は、日本社会の基盤を揺るぎかねない現況となりつつあります。
 従って、金融政策の影響が低下する中、経済政策は本格的な財政出動を軸に、重要な節目を迎えております。
 サッチャー、レーガン政策の基本理念となった20世紀の経済学者ハイエクあるいはフリードマンの「資本主義の自由」の市場原理主義が歴史的転換期を迎え、ケインズの「雇用利子および貨幣の一般論」の有効需要創出論は、戦後の主要国においてマクロ経済政策の基本であり、今日また主要先進国の積極財政の理念となっていることは、逆にこうした時代ゆえに新たな政策思想の形成が、今ほど求められる時はありません。
 こうした状況を包括すれば、人間社会のきわめて有効な方法である政治において、日本再生のカードは真に地方主権の確立であり、日本の活力ある未来構築は、地方社会の蘇生に他ならず、現代史は新たな段階に入ったと認識し、2009年は真に新しい長野県政の歴史の扉を押し開く意義深い年をしなくてはならないと思われます。
 尚、多元的意志の調整は、民主主義の基本である以上、深刻な閉塞感に包まれた昨今の社会情勢の中、混迷の時こそ悲観的に据えるのではなく、積極的解決に向けて舵を取るべく、知事は政治的想像力を駆使し、この厳しい局面の脱却のため、重大な政治決定こそが必要であり、具体性に富んだ政策構想力と広い知見のもと、新しい発想力を持って、真に県民の為の新しい長野県の政策体系造型に向けて、一層のご努力を頂くことを切望します。

コラム(14) 2009年01月
危機の克服に向けて
 激動の平成20年もあと残すところわずかとなりました。1年間にわたり、後援会、党員、支援者の皆様には、私の政治活動に対し、常に温かなご理解ご協力を頂き、心から感謝申し上げます。
 当初、予想もできなかった世界経済の混迷は、経済史の中でも極めて重要な転換期と位置づけられると思われます。世界同時不況は明確となり、金融工学の美名のもとに、ITバブル以後の経済政策としての金融資本主義は、結局のところ破綻をし、先進国、BRICSを含め、来年度以降の世界経済はマイナス成長が明確となりました。
 日本も金融機関の財務悪化のみならず、製造業を中心に実体経済に不況感が浸透し、雇用面を含め経済社会は、とりわけ我が国の経済を支える中小企業の厳しい資金繰りが、年末にかけて一段と悪化すると思われます。中小企業への資金支援については、第一次補正予算で信用保証枠拡大策が実施され、これに連動して長野県としても、中小企業融資制度資金300億円の拡充も実施、また短期資金緊急対策枠80億円を決定致しました。
 外需依存体質から、いかに内需経済に転換できるか、政治主導による基本的な政策転換が今ほど求められる時はありません。日経平均が8000円台を維持できるのか、為替は90円台という近年にない円高基調であります。従って輸出産業は根源的な経営戦略の変更を迫られている状況です。
 一方、財政面から考察致しますと、平成20年度当初予算比マイナス約200億円が予測され、減収補填債をはじめ、多角的な財政運営が求められております。日本を代表する自動車メーカーが大量のリストラと減産体制をとる等、裾野の広い産業故に、地方にも既に影響が出ております。
 サッチャー首相、レーガン大統領が押し進めた市場原理は、その調整機能が喪失し、今日経済思想は、フリードマンからケインズへとパラダイムシフトする傾向にあります。本質的な危機である今日の世界経済情勢への対応は、適正な財政出動による有効需要を創出する新たなるスタートの時となりました。
 無秩序なフリーマーケットの理念が崩壊しつつある今、政府の健全なる関与は、時代の要請となりつつあります。そうした中、社会保障制度の確立は、今、県民が求めている最大の課題であります。そのためにも財政の健全化を基本としながらも、景気回復を最大の政策テーマとしながら、財政の安定化実現を視野に、高齢者福祉の充実と未来の世代への責任という二つの柱を両にらみしながら、財政は戦後最大の困難な事態に直面しております。
 国家の一般会計82兆円、特別会計173兆円、県予算8400億円という財政規模の中で、本年度だけでも国は当初予算比マイナス6兆円と、まさに国家の危機であります。この危機の全体像を政治は深く認識しなければなりません。商業・工業・農業・観光・年金・医療・介護・雇用等々、各分野の展望が開かれず閉塞感と不安定感が社会全体に流れる中、当面の問題解決と中長期的な戦略性に富んだ明確な基本政策を政治は提示しなければなりません。
 2009年を迎えるにあたり、今日の危機の克服に向けてそうした現況を重く受け止め、県民の皆様の安全・安心のために県政全般に対し、緊張感を持って全力で議員活動をする決意であります。

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